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・鉄瓶本体の制作について
胸から上部の口に向かって細長い形状を鶴首形といいます。胴の部分に羽をつけ、それを 欠くことにより、わびさびを表現しています。 デザインした形状をもとに制作をした木型(鉄板切り出し)を回転させ砂と粘土を混ぜ合 わせた真土砂を使用し荒挽き、中挽、仕上げ挽き、と徐々に細かい砂で鋳型を仕上げてい きます。(惣型法) ひきあがった鋳型を一度乾燥させ、表面に砂を均一につけていきます(肌 打ち)これにより鉄瓶の表面に独特な風合いが生まれます。出来上がった鋳型は炭火によ り表面を1000度程度に焼き上げます(焼き型) 粘土分の多い真士砂は、これにより素焼き 状のシンガのような状態となります。焼きあがった鋳型を組み合わせ 1500度に溶けた鉄を 流し込み(鋳造) 鉄瓶が出来上がります。出来上がった鉄瓶の細部を仕上げ、表面に漆を 焼き付け、オハグロにて金工着色で仕上げます。
(蓋の制作) 蓋摘みの台座を6角形の亀甲紋にすることにより、本体の鶴と亀という縁起の良い隠しワ ードとしています。 蓋つまみは専用の蝋(ワックス)を自分のデザインした形状に削りだし(ワックスモデリ ング)制作をします、鋳型を焼くことにより蝋は溶け出し、その空間に金属を流し込み鋳 造をする技術です。(蝋型鋳造法)金属は唐金(青銅)を使用し表面を磨き上げ、オハグロ で着色します。蓋は小さいものですが、鉄瓶本体と同じくらい手間ひまがかかります。
(鉉、取っ手の制作)鉉は鉉職人による鉄瓶一つ一つの形状にあわせて作るオーダーメイドです。 鉉は大きく分けて2つあり、一つは無垢鉉(鉄の丸棒を使用)と袋鉉(鉄板を鍛治仕事で 丸めながら作る内部が中空の鉱)内部が中空なので虫食いという穴をあける装飾がついて います。今回の形状は「もっこ」の袋鉉もっこの袋鉉を打てれば一人前と呼ばれるくら い難しい技術です。私が知る限りこのもっこの袋鉱を打てる職人さんは現在一人だけです。
(まとめ) 割と手ごろな価格で手に入る量産型の鉄瓶が出回る現在、今回出品した鉄瓶はすべての工 程で手仕事で作り上げる鉄瓶です。手間ひまのかかる分割高になりますが、独特な風合い やたたずまいを堪能できると思います。
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素材:鋳鉄、漆、オハグロ
技法:
蓋摘み・・・蝋型鋳造法
鉄瓶本体・・・挽型法、焼型
取っ手・・・鍛金
サイズ:径160㎜ 高さ230㎜ 重さ1.2kg
※金工のお話は、工芸者紹介ページにも記載しておりますのでご覧ください。
https://edogawa-dentoukougei.stores.jp/news/5ee8c31e561e173e0e6bd94f